雨あがりの朧月夜に、狐が愛しい者のもとへ帰る話 進んだ先は夜だった。周囲に立ち込める湿り気と匂いから、雨が降ったものとみえる。月はぼんやりとかすみ、弱い光を地上に投げかけている。濡れた草を踏みしめ歩けば、懐かしさが込み上げた。先に長屋門が見える。本丸だ。小狐丸は走り出したい気持ちを抑え、ゆっくりと近…